Scout Pantsをフライフロントで作ってみた【後編:縫製編、そして私の失敗談】

前回の記事では、『ハギレを出さないソーイング』掲載のゼロウェイストパンツ「Scout Pants」(デザイン:Danielle Elsener)を、リズさんがフライフロント仕様・デニムで裁断するところまでをご紹介しました。今回はいよいよ縫製編。……のはずが、思いがけない失敗の連続だったようです。「私の失敗談を読んで、みなさんは同じ間違いをしないでくださいね!」とのこと。さっそく見ていきましょう。

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使用した生地

生地は、西オーストラリアのPotter & Coで購入した、日本製のセリーヌ残布デニム。ポリウレタン2%入りとはいえかなり硬めで扱いにくい生地だそうですが、洗ううちに柔らかくなっていくとのこと。以前、リズさんがデザインした「Optimatium」のコートにも使った生地だそうです。

大切なロックミシンに負担をかけすぎないよう、裁断したパーツはすべて縫い始める前に1枚ずつロックミシンをかけておく、という下準備も忘れていません。デニムより薄い生地でしたら工程内で縫い代を重ねてロック処理する方法でも大丈夫だと思います。

翻訳ツールで内容にざっと目を通したあとは、これまでパンツを数多く縫ってきた経験を頼りに自己流で進めたそうです。ただ、「早く作りたい」気持ちが先走ってしまい、ここからいくつかのハプニングが待っていました。

パッチポケット:ここは順調

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まずは後ろのパッチポケットから。ここまでは特に問題なく、順調に進んだそうです。

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説明書には載っていないアレンジですが、後ろポケットにステッチを加えるとアクセントになって楽しいですね。また、次回作るときの改善案として「ポケットのカーブ部分用に厚紙テンプレート(縫い代は削ります)を作っておくと、きれいなU字にアイロンで折り込みやすくなりそう」というメモも。次回作にぜひ活かしてほしいポイントです。

前あき:ファスナーの長さで思わぬトラブル

続いて前あき(フライフロント)部分。参考にしたのはこちらのチュートリアルです。 👉 Flying High: Mastering Fly Fronts(lizhaywood.com.au)

作り方自体はこの方法で進めたものの、ここで問題発生。必要なファスナーの長さを事前に確認していなかったのです。「ファスナー入れの中に当然あるはず」と思い込んでいたところ、手元にあったのは15cmのファスナーのみ。本来必要なのは14cmでした。そのせいで「持ち出し」と「見返し」のパーツが、想定より少し短くなってしまいました。

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このとき考えた選択肢がこちら。

  • (a) 月曜日まで待って14cmのファスナーを買いに行く
  • (b) 手持ちのファスナーを短く加工する(金属製なので専用の道具が必要)
  • (c) 持ち出しと見返しを裁断し直し、ロックミシンをまた引っ張り出す(そこまでの気力があるか?)
  • (d) とにかく「なんとかする」

選んだのは (d)。持ち出しと見返しを上端から5mmほど下げて縫い付けることで対処し、結果的にはうまく収まったそうです。

ウエストバンド:一番の大苦戦

そして今回いちばんのハプニングが、このウエストバンドでした。

「サイズを測らずに突っ走ってしまった」という、ある意味"あるある"な失敗からスタート。本の中で一番大きいサイズであるLL/3Lを選びました。P27の標準サイズ表には3Lのサイズがウエスト80cm・ヒップ104cmとありますが、このパンツのサイズ感は、LLと3Lの中間あたりだったそうです(3Lサイズの人にはきつく感じられるかも知れません)

リズさんのサイズはウエスト82cm、ヒップ101cm。後ろ中心が斜めではなくまっすぐな作りのため、低めで平らなヒップラインの方にはフィットしやすいデザインとのこと。ただし出来上がったウエストバンドは79センチ、対してリズさんのウエストは81センチ(しかも普段から5cmの変動は普通)。当然、ウエストバンドはきつすぎる結果に

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最初は持ち出しを折り込んだり、両端の縫い代を最小限まで削ったりと、あらゆる裏技で「なんとかしよう」としたものの、仕上がりはかなり窮屈なまま。最終的には思い切って、

  • ウエストバンドとベルトループをほどく
  • ウエストバンドを 10.5cm長く裁断し直す
  • 前の2本のタックを、小さめの1本に減らす

という大幅なやり直しに踏み切りました。その甲斐あって、「今では夢のようにぴったり」だそうです。

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同じ状況になった方のために、リズさんが導き出したウエストバンドの計算式はこちら。

(ウエスト+好みのゆとり1.5〜2.5cm)+見返し6.5cm+両端の縫い代2cm

タックの深さは、出来上がったウエストバンドのサイズに合わせて調整するのがポイント。ちなみに新しいウエストバンドには、生地の耳(セルビッジ)を内側の端に使ってみたそうで、これが「なかなかお気に入りの」ディテールになったとのことです。

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取り入れた工夫まとめ

体型や好みに合わせて、最終的にはこんな調整を加えていました。

①前のタックを5cm中縫い — タックは少し中縫いした方がすっきり見えるため

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②後ろ中心付近の傾斜を4mm削減 — 比較的まっすぐな筒型体型で、ライズが高すぎたため

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③股上を1.5cm下げる — この型紙は身長160cm向け設計のため、それより背が高い場合の調整として

股上を下げる調整は完成後でもできるそうで、片方の脚をもう片方の内側に入れて、新しい股ぐりのカーブを少し下げて縫い、元の縫い線に自然につなげてから縫い代を切りそろえるだけ、とのこと。履いてみて、股上が浅いと感じた人は、今からでも調整できますね。ただしウエスト位置が自然と上がる分、パンツ丈がやや短くなる点は要注意です。

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④丈を7cm足す — このパンツは通常の裾上げではなく裾に見返し布が付くタイプで、お好みで裾ゴムも通せる仕様

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⑤ポケット袋布はウエスト上端から8~10mmはみ出しました —ウエストバンド縫い付け時、 自然に沿わせた結果、写真のようになりました。生地が硬く、むりにウエストラインに合わせることができなかったため、結果的にウエスト上端から8〜10mmはみ出す形に

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完成、そしてリズさんからのひとこと

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「フィット感を優先してこのパターンに手を加えると、ゼロウェイストではなくなるかもしれません。それでも、ミニマルウェイストであっても、自分に合って気持ちよく着られる服を作るほうが良いと思います。そうでなければ、結局は別の"無駄"を生んでいるだけですから。」

数々のハプニングを乗り越えて完成したパンツには、とても満足している様子のリズさん。「きっと何にでも合わせやすいので、着るのも楽しみ」とのことです。

パンツ作りが初めての方には、まずはゴムウエスト版のG-16/G-17から挑戦するのがおすすめだそうです。ファスナー付きに挑戦したくなったときも、すでに手元にテンプレートが出来上がった状態からスタートできますからね。

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裁断編はこちらから:Scout Pantsをフライフロントで作ってみた【前編:裁断編】

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